確かに敵意をむき出しにしないと進めないこともある。
朝、オフィスビルに向かう人たちの波で歩道橋が
埋め尽くされ、しかしこちらも既に水道橋方向から
ホームに入ってくるのが見える電車に乗らないと確実に
遅刻する、という時、人の波を無理矢理かき分けて
駅に進むしかない場合がある。
左側通行と書いてあるのに左側を歩いている相手が悪い。
生き残るには自分を正当化して守っていくしかない。
でもそのおじさんは、目の不自由な人が持っている杖を
まるでフェンシングのように前方に掲げて
向かってくる膨大な人の波を
突くような動作でを歩き続けていた。
それはまるで自分以外の世界に対する
敵意そのものみたいな歩き方で
きっと大変な思いをこれまでもしてきたからだろうと
こちらまでどきりとさせられた。
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