to be good at small talk ママ友との会話の難しさ

桐野夏生のハピネスという本が家にあったので
ちょっと読み始めてみたところ、
子供の設定が今うちにいる子と同じくらいの
幼稚園に入る前の年齢で、
タワーマンションのママ友の
話というちょっと身近っぽい内容だったので
面白くそのまま読み終わった。

育児休職しているとはいえ、
実際にママ友の世界に入り込んだことはほぼ無く、
どういったコミュニティが存在し
どのように自分の妻や子供が何をしているのかは
把握し切れていない。

しかし普通の夫に比べれば、平日道ばたで会ったり、
児童館の一時保育で会ったり、公園で会ったりと
ほんのわずかだがその世界に触れるタイミングが多いと思える。
半年で数時間、のレベルだけど。
色々気を使う場面もありそうには感じるものの、
本で描かれている世界のような難しさは全く無いと言える。

しかし圧倒的な気味の悪さや深い深い暗がりを描く
桐野夏生の本としてはたぶん読者側も肩すかしだったのかなとは思う。
それはちょっと置いておいて、

自分が一番興味深いと思ったのは、
所謂ママ友との会話の難しさだ。
そういう機会が自分に無かったと言えばそれまでなのだが、

会社でやっているような背景をきちんと話し、
状況を筋道だてて説明し、
起承転結をきちんとまとめてそれから本題を話す

っていうのが出来ない。

子供から目を離せないっていうのがあるし、
その人の持っている背景も全く異なるので
話を一般的にしつつ、要点だけ、短く簡潔にしないと成り立たないのだ。

例えばプールで隣の子とご挨拶しましょう、みたいな
15秒くらいのコンタクトしかないタイミングがあるとして
そこで子供の状況を説明する、とか。

実は三日前に高熱を出していて今は
抗生物質を処方されているんだけど薬を飲むのに
非常に苦労していたのだが最近ゼリー状のオブラートのような
物を薬局で売っているのを知り、でもそのゼリーが足元を見ていて
300円とかすごい高くて実際買ったんだけど全然飲んでくれない
とか話そうとしても出来なくて、

鼻水が出ているんですけど
鼻がかめるようになったんですよ

とかそれくらいの言葉の量になる。
というイメージが常にある感じで

物事についてきちんと説明したい方の自分としては、
比較的自分の専門的な内容について問われても
こういう返答しか求められていなかったり出来なかったりするので、
そうかこれはもっと簡潔に物事を説明する能力を
養わないことには太刀打ちできないなと感じた。

たぶんこれは世間一般で言うところの世間話なのだが
そういう世間話をする相手がこれまで存在しなかったので、
なるほどこれは難しい、
ワイドショーのコメンテーターとかってこういう感じをさらに
凝縮した物なのか、と思っている。