少なくとも才能は間違いなくある作家なんだなということはわかる。
こういう色眼鏡で見てしまうのはこの作家のデビューの仕方の宿命で
それを背負っていく人生はきつそうだ。
この本の主人公の人生も、平坦ではない。
自分の予想に反して、
スポイルされた子供が表面化するという形では崩壊が現れず、
恋というもので最終的な堤防が欠落する。ここは予想外で
思いがけなかった。しかし、
こういう不幸なストーリーを読んでいるとおそらく桐野 夏生の方が上で、
読後のやりきれなさは桐野 夏生が9とすれば今回の作品は6、くらいだ。
いずれにせよ、間違った道でだましだまし進み続けても
綻びが出てきてしまう、という悲しい話である。