伊坂幸太郎にしてはイマイチ、としか言いようがない。
以前真保裕一のダイスをころがせを途中で投げ出したのだが、
前者は社会的、後者は政治的なテーマをとりあげ作者の意見をちりばめた
小説というのはやはり難しいと思う。
伊坂幸太郎は「かなり良いなあこれ」、
と思う意見をスルリと登場人物に語らせることで
とてもうまく世相を切り取るのだが、
確かに今回もそういうシーンが多く出てくるのだがイマイチ
キレがない。キレがあってこその伊坂幸太郎なのだが。
小説は別の作家の漫画と連動しているようだ。
色々縛りがありすぎたんだろうか。
これまでほとんど全ての伊坂 幸太郎作品を読んでいるがこれに関しては
なんとも言いかねる。あらかじめ決められた運命を歩む王求という名の男の子。
与えられたもの、すなわち”ギフト”もこのような決められた何かの元では
そこに意味すら見いだせないという事は伝わるのだが結局のところ、
何を伝えたいのか、普段の作品にあるメッセージ性が乏しい。
なんと言ってもやはり
おまえらのしていることは検索であって思索ではない
言われた、って感じだ。
久しぶりに買って良かったと思う本。
ゴールデンスランバー以前の時間設定。
先に読んでいれば良かったかなと思う。
作者自身表紙の絵を描いている絵から物語が
生まれたと書いていたが、表紙が良い。
それから帯もいい。
「なあ、この音楽は誰かにちゃんと届いてんのかよ?」
といういかにも伊坂幸太郎の物語に出てくるような
台詞が書かれているだけなのだが、
物語をそれだけで想像させる。
時空を簡単に超えて音楽が作用する。
それぞれは知らないのに関わり合う人たち。
ゴールデンスランバーと違って登場人物同士の
気持ちの理解し合いのようなものは無い。
あくまで読み手となる自分たちがその繋がりを知っていて
心の底でにやりとしてしまうような内容。
おすすめ。
伊坂幸太郎の本はいつも感動的だ。
ミステリーの本棚に分類されているのが
不思議になってくるくらいではある。
ゴールデンスランバーは首相暗殺の疑い、というより
事実を国家的規模で入念にかけられた青年を巡る冒険で、
いつも通り舞台は仙台でいつも通り、
通常の見方をすれば完全な犯罪者であるのにも
かかわらず心強い味方になってしまう人物と、
破天荒な事を言うのだが憎めないキャラクターが登場する。
とにかくスピード感のあるクライム物で
陰謀に嵌められた側が何とかもがく感じと
そこからはい上がる感じがなんとも良い。
伊坂幸太郎の文章は伊坂幸太郎にしか書けない。
表紙も素敵だ。
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