失恋した人が読むといいかも、と思った。
読んでいる時はそうでないんだけど、読み終わった後に、ものすごい恋愛小説だなと思う、あまりない恋愛小説。
「あなたの言う消費者って誰?男?女?年はいくつで、年収はいくら?家族構成は?休みは土日?家はどこ?車は持っているの?消費者のことなんて忘れなさい。具体的に存在する人間のことを考えて」
「僕は今でも一日の最後の5分間だけ、かすみのことを思う。水穂のことを思う。そのとき、そこにいた自分のことを思う。その時間は、僕の胸に静けさと穏やかさを運んできてくれる。一日の二百八十八分の一だけ、僕はその静けさと穏やかさの中にじっと身をひそめ、自分の中から湧き上がってくるものにそっと身をゆだねる。僕はこれからも色んなものを失っていくだろう。けれど、僕はそれらを一日の小さなかけらの中に集め続けるだろう。小さなかけらはやがて結晶となって、僕を形作ってくれるだろう。そんな気がしてる。そして残りの二百八十七は今の僕のために使い、今の僕が愛する人のために使っている。