シーラッハの「コリーニ事件」に続く長編ものの第2作。
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが---
ドイツで出版されたとき評価がまっぷたつに分かれた作品。「二度読んでも理解できなかった」とする書評家も。
この人の作品は、人が罪を犯すのはこんな状況なのか、それを司法制度で裁くことが果たしてできるのか、ということをずっとテーマにしてきたと理解しています。
その点からすれば、この作品は「小説にはまだ上があった」という高い評価の方に賛成いたします。
2015年1月9日東京創元社より発行 原題は「Tabu」(2013)